函館 冬のご馳走「いか粕漬け」

函館で冬のご馳走として親しまれている「いか粕漬け」。良質なイカが多く獲れた函館ならではの郷土料理だ。

イカを輪切りにするとゲソがたっぷりと詰められており、雑味のない上品で洗練された味わいが特徴。新潟の地酒「大吟醸 越乃白雪(こしのはくせつ)」の酒粕を使用して漬け込み、イカのふんわりとした甘さと、大吟醸の上品な甘さ、そして芳醇な香りが絶妙にマッチし、いか粕漬けは酒の肴に合う贅沢な一品だ。 通常の粕漬けも美味だが、わさびを加えた「わさび漬け」もピリッとしたアクセントで◉

今や高嶺の花

郷土料理だからどこの家でも食べる安価なものかと思うかもしれませんが、現在函館ならびに道南エリアではイカの水揚げ量は激減しており、前浜産のイカを地元でも安価に食べることはとても難しい。 昔は「イカイカイカ〜」と威勢のいい掛け声で、獲れたての朝の住宅街に売りに来ていましたが、今ではそのような光景は見られなくなった。

漁火

函館の奥座敷と言われる「湯の川温泉」に宿泊されたことがある方はご存知かもしれないが、夜になると遠くの海が光っていることが函館の景色と言え、「漁火」と呼ばれている。 漁火はイカ漁を行っている光で、イカは光に集まってくる習性があるため、夜に漁が行われる。 そのため生きの良いイカは早朝に販売されていました。 前浜産は今や希少品 現在は漁獲量が激減したため、粕漬けもアルゼンチン産などで、函館産のいか粕漬けを見つけることは大変困難になった。

酒の肴に

粕漬は北海道の郷土料理のため、本州の方はあまり馴染みがないかもしれません。しかし一度食べると「こんな酒に合う肴があったなんて」と驚くはずです。面倒な調理は不要で、解凍して輪切りにするだけ。イカの歯ごたえと大吟醸の風味、一本はすぐ食べてしまうかもしれません。