小川のウニ

ウニ通ならご存じであろう、鮨屋でよく見かける「小川のウニ」。しかし「小川」と名の付くウニ業者は複数存在し、どれが「小川のうに」なのかわからない方が多いと思われる。結論は全て「小川のうに」であり、少々ややこしい。関係者は、少し名称を付け加えて呼んでおり、北海道の「小川のうに」3社をまずご紹介し、豊洲ウニ4大ブランド、そしてウニトップブランドと呼ばれるメーカーも併せてご紹介する。

小川のうに

虻田 小川商店

白ウニも赤ウニも得意とする「虻田 小川商店」

北海道洞爺湖町に本社を構える「小川商店」。青と白のラベルが存在し、塩水うにおよび*弁当箱に「おがわの生うに」と記載されている。 *弁当箱(木箱に入った折うにのこと。豊洲関係者が使うプロ用語)

市場関係者からは「虻田 小川」と呼ばれており、「虻田(あぶた)」とは洞爺湖町として合併する前の市町村の呼び名で、今でも洞爺湖町は「虻田郡」となっている。虻田小川はキタムラサキウニとエゾバフンウニの二種類の製造・卸を行っている

浜中 小川水産

バフンウニを得意とする通称「浜中小川」

北海道の最西端の町「根室」の隣にある浜中町。浜中町には2社の「小川」が存在する。

1つ目の「小川水産」は緑/黄のラベルが特徴で、通称「浜中小川」と関係者から呼ばれており、主にエゾバフンウニの製造・卸をしている。

浜中町はエゾバフンウニの養殖が行われており、他の産地ではウニは産卵のため禁漁期間が設けられているため、夏のシーズンが終わった後はウニが品薄状態になりやすく、養殖は安定供給のために不可欠であり、貴重な存在だ。

浜中産養殖エゾバフンウニは、秋口〜冬季に多く流通し、北方四島(国後、択捉、色丹、歯舞)、樺太、そして浜中天然ともに豊洲市場に多く入荷します。

小川カンパニー(霧多布水産)

赤いラベルが特徴の「小川カンパニー (霧多布水産)」

2つ目の浜中町にある「小川」は「小川カンパニー (霧多布水産)」赤いラベルが特徴。関係者には主に「霧多布水産」と呼ばれており、エゾバフンウニの製造・卸を主にしていますが、夏季はキタムラサキウニもあります。

浜中養殖エゾバフンウニにも力を入れており、昆布のみで育ったウニは冬季では一番の産地と言われるほど、品質は高い。

また、品質が高い割に多少値頃なため、鮨屋からの引き合いも強い。

3社は全て関連がない

不思議なことをにウニを製造するメーカーは多々虻田小川、浜中小川、小川カンパニーは全て別の関連のない会社です。ただ一つ共通していることは、3社とも高品質なウニを製造していると言うこと。

あなたの好きな「おがわのウニ」はどの小川でしたか。

豊洲4大ブランドとは

豊洲4大ブランドと呼ばれる4メーカーがあり、それらはキタムラサキウニを得意としており、常に「超」が付く高値で豊洲市場で取引されている。大卸に入荷した時点で上位の番号が付けられ、でセリ落とされたものは香港やシンガポールなどへの輸出、または港区などの星付きの鮨店で提供されることが多い。

この4大ブランドとは、羽立水産 (はだての生うに)、東沢水産 (東沢スペシャル等)、橘水産 (まるひろの生うに)、大千のうにを指す。キタムラサキウニを得意とするブランドで羽立、東沢、橘は北海道函館近郊の会社で、大千は青森・大間にある。

羽立水産

豊洲入荷で1~2を争う羽立のうに

北海道駒ヶ岳と、噴火湾に挟まれた自然豊かな港町「北海道森町」函館市内から北に40-50分程度のところにあり、羽立水産は市町村合併前の「砂原」という地区に事務所を構える。

鮨好きは「はだての生うに」と書かれたラベルを鮨屋で見たことがあることだろう。

「羽立水産」はキタムラサキウニを専門としている豊洲トップブランドのメーカーで、風格・豪華さ・味わいは最高レベルです。ウニ通なら一生に一度は味わってみたい「羽立の生うに」。はだてのキタムラサキウニの上品な甘みは一生忘れられないものになるでしょう。

※2024年の豊洲初競りで、1番うには羽立水産で大箱が150万円で落札されました。

※1番ウニとは、豊洲市場では大卸が仲卸にセリをする前に「セリ番号」というものを付け、いわゆる格付けを行なっております。うにの場合は大卸ごとに1番ウニが存在します。1番が基本的に最も品質が高いとされており、例えば10番と1番では同じ弁当箱 (折ウニ) の「羽立のうに」でも金額が何倍も違います。

羽立の1、2、3番のスペシャルグレードは、1つ十万単位の超高級品ですので、日常の少々の贅沢と言うことであればレギュラー品がおすすめです。

東沢水産

東沢の上物はスペシャルと記載されている

津軽海峡に面し、函館から南に約1時間の知内町に東沢水産はある。知内は牡蠣も特産品で、品質の良いものが多く流通しています。また演歌歌手の北島三郎さんの生まれ故郷として知られています。

青いラベルが特徴的で、東沢水産では厳選した北海道産キタムラサキウニを使用し、美しく並べられた大箱のウニが特徴です。

「東沢スペシャル」と呼ばれる、豊洲市場でも1、2番などの上位にくるウニの大箱は芸術品そのもの。名だたる高級鮨店で使用される極上のウニを少々の贅沢や、贈り物、記念日等に是非ご利用ください。

こちらも羽立同様に十万単位ですので、日常の少々の贅沢と言うことであればレギュラー品がおすすめです。

※入荷が不安定なため、指定日の場合は営業にご相談ください。

橘水産

北海道函館市に本社を構える「橘水産」もキタムラサキウニを得意とし、風格・豪華さ・味わいは最高レベルです。ウニ通なら一生に一度は味わってみたい「まるひろの生うに」。特別な贈り物や贅沢な時間に是非ご利用ください。 羽立、東沢と同様に、橘水産「まるひろの生うに」は常に高値で取引されています。 東京の超高級寿司店はもとより、海外の一流店からの引き合いも強いため、入手困難な「まるひろのうに」。整然と並ぶキタムラサキウニの姿に圧倒されることでしょう。

まるひろの生ウニは淡い青・緑のラベルが存在します。

※入荷が不安定なため、お日にちのご確約はできかねますが、ご希望の日がある場合は営業にご連絡ください。仲卸に相談させていただきます。

ウニトップブランド

4大ウニと呼ばれるメーカーはキタムラサキウニをメインとしており、エゾバフンウニでも市場や鮨店、海外バイヤーなどから評価の高いウニトップブランドが存在する。

虻田 小川商店

特選が「虻田小川」で一番色味の良い上物等級

先ほどもご紹介した通り、噴火湾に面した北海道洞爺湖町に拠点を置き、キタムラサキウニとエゾバフンウニを製造する「虻田 小川」。安定した品質で鮨屋の大将からも信頼が高いメーカー。

浜中 小川水産

浜中小川で色味が良くセリ番号が高いものは「上品」と呼ばれる

先ほどもご紹介した北海道浜中町に拠点を置く「浜中 小川水産」は緑/黄のラベルが特徴で、通称「浜中小川」と関係者から呼ばれており、主に (赤ウニ) エゾバフンウニがメイン。浜中町は厚岸と根室の中間にある北海道東部の町で、前浜は良質なエゾバフンウニが取れる。また、地理的に北方四島が近いため、冬場は多く流通する。

マルキ平川水産

マルキ平川で最も等級の高い「極」

浜中小川と同じく浜中町に拠点を置き、前浜の養殖エゾバフンウニなどにも力を入れている。浜中町の養殖ウニの評価は高く、時期によっては天然物より上物とされている。ウニは雑食でなんでも食べてしまうため、魚のアラなどを食べた場合は雑味が出ると言われている。しかし浜中養殖では、昆布しか食べさせないように管理しているため、雑味がなく、コクがありうまいとされている。昆布はグルタミン酸をはじめとするアミノ酸が豊富で、旨味成分と呼ばれており、食べたものは体になるため、旨みの強いウニに仕上がる。

ウニが卸される豊洲市場とは

築地、豊洲などの名称は広く知られ、市場があることは誰もがご存知だと思われるが、どのような仕組みで流通しているか、漠然としか把握されていない方が大半だと思われる。バイヤーの私も毎週のように豊洲に何度も通い、仲卸から教えてもらったり、歩きながらわかったことがあるので、お客様にウニをお届けするまでどのように流通しているのかをご説明する。

豊洲市場は東京都江東区豊洲にある公設の卸売市場で、水産の取扱量はは世界最大級であり、以下のように構成されている。6街区と7街区の地上は道路になっているが、地下で繋がっている。

  • 5街区:青果楝
  • 6街区:水産仲卸売場楝
  • 7街区:水産卸売楝
  • 7街区:管理施設楝

7街区の大卸とは

セリが行われる7街区

セリ(簡単に言うとオークション) は7街区〈水産卸売楝〉で行われ、卸売業者 (通称 大卸)と呼ばれる存在で、羽立や虻田小川などのメーカーはこの大卸にウニを卸している。水産の大卸は7社あり、豊洲市場を管理している東京都を通じて農林水産大臣の許可が必要となり、業者がコロコロ変わることはない。

東水、大都、マル中、東市、第一、綜合、千代田と呼ばれる7つの卸売会社が仲卸や買参権を持つ業者にセリを通じて取引を行っており、当然だが買参権がないとはセリに参加することはできない。買参権は仲卸の他に、正月によく見る通り、すしざんまいや大手スーパー、居酒屋チェーンなどが取得している。

この大卸ごとに1番ウニが存在し、基本的にメーカーは同じ大卸に毎日降ろしており、例えば羽立水産はマル中に納品しているので、マル中のセリは基本的に羽立のうにが一番となることが多く、高値が付きやすい超高級品の1番ウニからセリが始まる。

豊洲市場のウニのセリは休場日の日曜、水曜を除き、毎朝5時に2社同時に行われる。仲卸は何千枚と並んでいるウニの低温保管室で予め目利き (落札したい品質と想定される価格のウニを吟味)をし、振鈴を合図にセリ台に仲卸が集まる。

豊洲市場・低温保管室で並べられているウニ

同じ番号で積み上げられているウニでもイマイチなものが混じっている場合もあるようなので、仲卸は上のウニだけ見るのではなく、奥も都度確認するそうだ。値段と品質に合うものを見つけるのは簡単なことではないと感じさせられる。

セリは最も高い値段がつくであろう、番号が上の1番から始まり、威勢の良く大卸 (競り人) は暗号のような音調でスタートし、仲卸 (仲買人) は手やり (値段や数量を指で指すこと)をしてセリを行う。

予め保管室で予測の価格を推定しておき、客の注文の品を、どこのどれで、どのくらいの金額で競り落とすか頭に入れておくそうだ。

仲卸は、客の注文に応えるのはとても大変だと日々感じる。例えば、絶対に1、2番のスペシャルウニをセリ落として欲しいと言う客、上限x万円で卸して欲しいと言う客、○○水産でxx産のxxxウニを用意して欲しい客など、客 (鮨屋や私どものような小売)の要望を何十件、何百件と全て頭に入れてセリに挑んでいるので、瞬時にパッと判断できる度胸と、記憶する頭の良さがないと務まらないだろう。

6街区の仲卸とは

小売や鮨店に卸すための6街区

7街区〈水産卸売楝〉でセリ落とした魚は、向かい側の6街区〈水産仲卸売場楝〉に運ばれて下処理をする。

写真にある小型の運搬車両は「ターレ」と呼ばれており、電気で動く。仲卸は狭い場所でも、曲がる時でもスピードを減速せずにグイグイ進み、魚のみならず活きの良さを感じさせられる。

豊洲で水産関連の仲卸は、2020年の時点で481社あり、マグロ専門仲卸、海老専門仲卸、ウニに強い仲卸、貝に強い仲卸、様々なものを扱う総合仲卸などがあり、客 (鮨屋や小売業者)が求めるこだわりや好み、そして求める品質がある仲卸業者に日々早朝に通い、仕入れを行う。仲卸業者はセリで、客の要望に合う品質、金額のものをセリ落としてくれ、鮨屋や百貨店、そして当社のような小売に商品を卸してくれる業者だ。

例えば一流の鮨店は必ず、一流の仲卸を通してネタを調達している。一流の仲卸でないと一流品をセリ落とす目利きはおらず、引っ張ってくるパワーもない。そのため各水産品で超高級の上物を扱う仲卸はほとんど限定されていると言っても良い。毎日星付きの鮨屋に卸すのと、回転寿司チェーンやスーパーの特売品に卸すのでは、客の注文が異なり、求められられるものが異なるので当然である。

当社がウニをお願いしている仲卸「マルツ尾清」は、豊洲市場で最も歴が長い靭江氏がセリに行っており、レジェンド目利きと豊洲では呼ばれている。靭江氏はウニの善し悪しは見ればすぐわかるそうで、仲卸はある意味、プロ野球選手のように一種の才能とと言えるものかもしれない。見当の付かないウニの微妙な良し悪しを見抜くことができ、高品質重視の客が全国にいる。当社も靭江氏の目利きに頭が上がらない。

ミョウバンは味に影響しない

ミョウバンはウニの味を悪くする代名詞のように言われていますが、無味、無臭で味には全く関係ないとされています。

あたかも「ミョウバン不使用=苦くない!」と言うような風潮がありますが、そのような苦くて不味いウニをミシュラン星付きの鮨屋が使うわけがなく、一流の超高級鮨店でミョウバンを使用したウニが使用されております。ミョウバンを使用している一流メーカーは、はだての生うに、まるひろの生うに、東沢のうに、虻田小川 小川の生うに、浜中小川 おがわのうに、マルキ平川などがあります。このような一流メーカーの特上品はおまかせコースのみウン万円!というような内容でも使用されています。

そのような高級鮨店で、「私はミョウバン入りの苦いウニは食べれません!」などと大将に文句を言ったり、まずいと言う人を見たことがありません。

ウニは食べたもので味が変わるため、ミョウバン云々に食べてたものが悪いか、時間が経って劣化している、または等級が低いなどのうにです。ミョウバンを入れようが入れなかろうが、品質の低いウニはどうにもならず、 食通のお客様は周知の話かと存じます。私どもはありきたりの大衆受けが良い、間違った風潮に踊らされることなく、最高級をお求めの方のために、超一流高級鮨店と同等の「極上ウニ」をご用意させて頂きます。

生ものは鮮度が重要

但し、生もですので、時間と共に鮮度が下がるのは当然のことで、時間が経つと苦味等が出てくる場合は十分に考えられます。うにはお届け当日、または翌日など鮮度の良いうちにお早めにお召し上がりください。また東京・豊洲出荷品は、北海道ならびに沖縄、離島などのお届け日数がかかる地域への配送は品質保持の都合から、お手配をお断りし、鮮度を重視しております。北海道の場合は、当社取扱い商品では虻田小川商店など、塩水うにがメーカー直送でお手配できますので、そちらをご検討ください。

私どもは高級鮨店と同じ上物

また自社サイトでは「ミョウバン不使用」ウニを販売し、豊洲入荷品は普通にミョウバンを使用する某有名メーカーもあり、チグハグな状況で、外で食べる鮨屋の方が品質が低いものだとは到底思えません。

余談ですが、2024年の豊洲初競りで、1番うには羽立水産で大箱が150万円で落札されました。このウニ大箱にもミョウバンが使用されています。この金額のウニが苦くてまずいとは思えませんが、いかにミョウバンが味に影響しないか、いい事例だと思います。

ミョウバンを使用する目的

ウニは溶けやすく身崩れを起こしやすいため、弁当箱のウニはミョウバンを使用して溶けないようにします。ミョウバンは硫酸アルミニウムカリウムという食品添加物で、食品で使用する量では有害はなく、安全といえます。