豊洲4大ブランドと呼ばれる4メーカーがあり、それらはキタムラサキウニを得意としており、常に「超」が付く高値で豊洲市場で取引されている。大卸に入荷した時点で上位の番号が付けられ、でセリ落とされたものは香港やシンガポールなどへの輸出、または港区などの星付きの鮨店で提供されることが多い。この4大ブランドとは、羽立水産 (はだての生うに)、東沢水産 (東沢スペシャル等)、橘水産 (まるひろの生うに)、大千のうにを指す。キタムラサキウニを得意とするブランドで羽立、東沢、橘は北海道函館近郊の会社で、大千は青森・大間にある。
羽立水産
豊洲入荷で1~2を争う羽立のうに
北海道駒ヶ岳と、噴火湾に挟まれた自然豊かな港町「北海道森町」函館市内から北に40-50分程度のところにあり、羽立水産は市町村合併前の「砂原」という地区に事務所を構える。
鮨好きは「はだての生うに」と書かれたラベルを鮨屋で見たことがあることだろう。
「羽立水産」はキタムラサキウニを専門としている豊洲トップブランドのメーカーで、風格・豪華さ・味わいは最高レベルです。ウニ通なら一生に一度は味わってみたい「羽立の生うに」。はだてのキタムラサキウニの上品な甘みは一生忘れられないものになるでしょう。
※2024年の豊洲初競りで、1番うには羽立水産で大箱が150万円で落札されました。
※1番ウニとは、豊洲市場では大卸が仲卸にセリをする前に「セリ番号」というものを付け、いわゆる格付けを行なっております。うにの場合は大卸ごとに1番ウニが存在します。1番が基本的に最も品質が高いとされており、例えば10番と1番では同じ弁当箱 (折ウニ) の「羽立のうに」でも金額が何倍も違います。
羽立の1、2、3番のスペシャルグレードは、1つ十万単位の超高級品ですので、日常の少々の贅沢と言うことであればレギュラー品がおすすめです。
東沢水産
東沢の上物はスペシャルと記載されている
津軽海峡に面し、函館から南に約1時間の知内町に東沢水産はある。知内は牡蠣も特産品で、品質の良いものが多く流通しています。また演歌歌手の北島三郎さんの生まれ故郷として知られています。
青いラベルが特徴的で、東沢水産では厳選した北海道産キタムラサキウニを使用し、美しく並べられた大箱のウニが特徴です。
「東沢スペシャル」と呼ばれる、豊洲市場でも1、2番などの上位にくるウニの大箱は芸術品そのもの。名だたる高級鮨店で使用される極上のウニを少々の贅沢や、贈り物、記念日等に是非ご利用ください。
こちらも羽立同様に十万単位ですので、日常の少々の贅沢と言うことであればレギュラー品がおすすめです。
※入荷が不安定なため、指定日の場合は営業にご相談ください。
橘水産
北海道函館市に本社を構える「橘水産」もキタムラサキウニを得意とし、風格・豪華さ・味わいは最高レベルです。ウニ通なら一生に一度は味わってみたい「まるひろの生うに」。特別な贈り物や贅沢な時間に是非ご利用ください。 羽立、東沢と同様に、橘水産「まるひろの生うに」は常に高値で取引されています。 東京の超高級寿司店はもとより、海外の一流店からの引き合いも強いため、入手困難な「まるひろのうに」。整然と並ぶキタムラサキウニの姿に圧倒されることでしょう。
まるひろの生ウニは淡い青・緑のラベルが存在します。
※入荷が不安定なため、お日にちのご確約はできかねますが、ご希望の日がある場合は営業にご連絡ください。仲卸に相談させていただきます。
ウニトップブランド
4大ウニと呼ばれるメーカーはキタムラサキウニをメインとしており、エゾバフンウニでも市場や鮨店、海外バイヤーなどから評価の高いウニトップブランドが存在する。
虻田 小川商店
特選が「虻田小川」で一番色味の良い上物等級
先ほどもご紹介した通り、噴火湾に面した北海道洞爺湖町に拠点を置き、キタムラサキウニとエゾバフンウニを製造する「虻田 小川」。安定した品質で鮨屋の大将からも信頼が高いメーカー。
浜中 小川水産
浜中小川で色味が良くセリ番号が高いものは「上品」と呼ばれる
先ほどもご紹介した北海道浜中町に拠点を置く「浜中 小川水産」は緑/黄のラベルが特徴で、通称「浜中小川」と関係者から呼ばれており、主に (赤ウニ) エゾバフンウニがメイン。浜中町は厚岸と根室の中間にある北海道東部の町で、前浜は良質なエゾバフンウニが取れる。また、地理的に北方四島が近いため、冬場は多く流通する。
マルキ平川水産
マルキ平川で最も等級の高い「極」
浜中小川と同じく浜中町に拠点を置き、前浜の養殖エゾバフンウニなどにも力を入れている。浜中町の養殖ウニの評価は高く、時期によっては天然物より上物とされている。ウニは雑食でなんでも食べてしまうため、魚のアラなどを食べた場合は雑味が出ると言われている。しかし浜中養殖では、昆布しか食べさせないように管理しているため、雑味がなく、コクがありうまいとされている。昆布はグルタミン酸をはじめとするアミノ酸が豊富で、旨味成分と呼ばれており、食べたものは体になるため、旨みの強いウニに仕上がる。
ウニが卸される豊洲市場とは
築地、豊洲などの名称は広く知られ、市場があることは誰もがご存知だと思われるが、どのような仕組みで流通しているか、漠然としか把握されていない方が大半だと思われる。バイヤーの私も毎週のように豊洲に何度も通い、仲卸から教えてもらったり、歩きながらわかったことがあるので、お客様にウニをお届けするまでどのように流通しているのかをご説明する。
豊洲市場は東京都江東区豊洲にある公設の卸売市場で、水産の取扱量はは世界最大級であり、以下のように構成されている。6街区と7街区の地上は道路になっているが、地下で繋がっている。
- 5街区:青果楝
- 6街区:水産仲卸売場楝
- 7街区:水産卸売楝
- 7街区:管理施設楝
7街区の大卸とは
セリが行われる7街区
セリ(簡単に言うとオークション) は7街区〈水産卸売楝〉で行われ、卸売業者 (通称 大卸)と呼ばれる存在で、羽立や虻田小川などのメーカーはこの大卸にウニを卸している。水産の大卸は7社あり、豊洲市場を管理している東京都を通じて農林水産大臣の許可が必要となり、業者がコロコロ変わることはない。
東水、大都、マル中、東市、第一、綜合、千代田と呼ばれる7つの卸売会社が仲卸や買参権を持つ業者にセリを通じて取引を行っており、当然だが買参権がないとはセリに参加することはできない。買参権は仲卸の他に、正月によく見る通り、すしざんまいや大手スーパー、居酒屋チェーンなどが取得している。
この大卸ごとに1番ウニが存在し、基本的にメーカーは同じ大卸に毎日降ろしており、例えば羽立水産はマル中に納品しているので、マル中のセリは基本的に羽立のうにが一番となることが多く、高値が付きやすい超高級品の1番ウニからセリが始まる。
豊洲市場のウニのセリは休場日の日曜、水曜を除き、毎朝5時に2社同時に行われる。仲卸は何千枚と並んでいるウニの低温保管室で予め目利き (落札したい品質と想定される価格のウニを吟味)をし、振鈴を合図にセリ台に仲卸が集まる。
豊洲市場・低温保管室で並べられているウニ
同じ番号で積み上げられているウニでもイマイチなものが混じっている場合もあるようなので、仲卸は上のウニだけ見るのではなく、奥も都度確認するそうだ。値段と品質に合うものを見つけるのは簡単なことではないと感じさせられる。
セリは最も高い値段がつくであろう、番号が上の1番から始まり、威勢の良く大卸 (競り人) は暗号のような音調でスタートし、仲卸 (仲買人) は手やり (値段や数量を指で指すこと)をしてセリを行う。
予め保管室で予測の価格を推定しておき、客の注文の品を、どこのどれで、どのくらいの金額で競り落とすか頭に入れておくそうだ。
仲卸は、客の注文に応えるのはとても大変だと日々感じる。例えば、絶対に1、2番のスペシャルウニをセリ落として欲しいと言う客、上限x万円で卸して欲しいと言う客、○○水産でxx産のxxxウニを用意して欲しい客など、客 (鮨屋や私どものような小売)の要望を何十件、何百件と全て頭に入れてセリに挑んでいるので、瞬時にパッと判断できる度胸と、記憶する頭の良さがないと務まらないだろう。
6街区の仲卸とは
小売や鮨店に卸すための6街区
7街区〈水産卸売楝〉でセリ落とした魚は、向かい側の6街区〈水産仲卸売場楝〉に運ばれて下処理をする。
写真にある小型の運搬車両は「ターレ」と呼ばれており、電気で動く。仲卸は狭い場所でも、曲がる時でもスピードを減速せずにグイグイ進み、魚のみならず活きの良さを感じさせられる。
豊洲で水産関連の仲卸は、2020年の時点で481社あり、マグロ専門仲卸、海老専門仲卸、ウニに強い仲卸、貝に強い仲卸、様々なものを扱う総合仲卸などがあり、客 (鮨屋や小売業者)が求めるこだわりや好み、そして求める品質がある仲卸業者に日々早朝に通い、仕入れを行う。仲卸業者はセリで、客の要望に合う品質、金額のものをセリ落としてくれ、鮨屋や百貨店、そして当社のような小売に商品を卸してくれる業者だ。
例えば一流の鮨店は必ず、一流の仲卸を通してネタを調達している。一流の仲卸でないと一流品をセリ落とす目利きはおらず、引っ張ってくるパワーもない。そのため各水産品で超高級の上物を扱う仲卸はほとんど限定されていると言っても良い。毎日星付きの鮨屋に卸すのと、回転寿司チェーンやスーパーの特売品に卸すのでは、客の注文が異なり、求められられるものが異なるので当然である。
当社がウニをお願いしている仲卸「マルツ尾清」は、豊洲市場で最も歴が長い靭江氏がセリに行っており、レジェンド目利きと豊洲では呼ばれている。靭江氏はウニの善し悪しは見ればすぐわかるそうで、仲卸はある意味、プロ野球選手のように一種の才能とと言えるものかもしれない。見当の付かないウニの微妙な良し悪しを見抜くことができ、高品質重視の客が全国にいる。当社も靭江氏の目利きに頭が上がらない。
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